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Crocodile Dundee in Los Angeles
    クロコダイル・ダンディー in L.A.

オーストラリア映画 (2001)

クロコダイル・ダンディー・シリーズは、オーストラリア奥地に住む「超田舎者」のワニ・ハンターのミック・ダンディーが、ニューヨークに出てきて珍道中をくり広げるコメディーが特徴だが、第2作の13年後にポツンと作られた第3作の舞台はハリウッド。ダンディーの相手役のスー役の女優さんも6年ぶりで最後の映画出演。シリーズで初めて登場した子役のサージ・コックバーン(Serge Cockburn)も、2年後の1作は端役なので、目立つのはこの作品のみ。登場場面は結構多いが、何れもコメディー部分。まさにダンディー二世といったところだが、実際の配役名はマイキー・チャールトン(エンド・クレジットではマイキー・ダンディーとなっているが、ミック・ダンディーとスー・チャールトンは正式に結婚せず〔同棲状態で〕マイキーを育てたので〔理由不明〕、戸籍上は母方〔理由不明〕のチャールトンのはず)。名前のことで、もう少しくどくど言うと、父のミック(Mick)も子供のマイキー(Mikey)も、同じマイケル(Michael)の短縮形。英語名の場合、短縮形でも正式名にはなるが、親子で基本的には同じ名というのはややこしい。ついでにもう少し書くと、ダンディーは、超田舎者なので、当然ダンディズムを表す「Dandy」ではなく、「Dundee」と綴る(スコットランド系の姓)。ついでに、クロコダイルはいわゆる普通のワニのこと。でも、ワニ・ダンディーではあまりパッとしないので、このままでいいのかも。因みに、アリゲーターより性格は獰猛。また、前2作では、ワニを殺すハンターだったが、13年も経ったので、ワニは保護動物となり、ワニを殺さず捕獲するハンターに代わっている。映画は、ロスに来たダンディー父子の珍道中が半分、新聞記者に一時戻った奥さんスーの取材と陰謀の暴露が半分といった配分だが、あらすじは、全体の紹介ではなく、サージ・コックバーンの出演場面のみに限定する。

ミック・ダンディーは、ワニ漁が禁止となってから、奥地の現地体験ツアーを職とするようになり、平和で現代的にはなった。しかも、非正規とはいえ結婚し、一児をもうけているので、もはや「パパ」。小学校の終業時間に合わせて息子マイキーを迎えに行くなんて、とてもミックとは思えない。だから、学校から帰宅するまでの間、ジャングルでの「教育」ぶりを3つ見せるところが、面目躍如というか、面白い。ミックとスーはオートラリアの奥地で一緒に暮らしているが、生活ぶりは如何にもアメリカ風。そこに、アメリカで依然として大手新聞社を経営するスーの父から電話がかかってくる。ロスの支局長が交通事故で死亡したので、後任が決まるまで数週間代理を務めてくれというもの。スーが勧めたわけでもないのに、ミックは息子マイキーと一緒にロスまで同行すると言い出す。理由は、マイキーにとっての社会勉強。3人が住むことになったのは、ロスといってもダウンタウンではなく、全米有数の高級住宅地ビバリーヒルズにあるトイレが8つもある大邸宅だ。スーの父はニューヨーク在住なので、この邸宅の由来は不明。マイキーは地元の小学校に行き、ミックはスーの取材に協力して、怪しい映画会社にスパイとして潜入。通行人のエキストラからチンパンジーのトレーナーに昇格する。ここで面白いのは、マイキーの小学校での場面。因みに、アメリカが舞台の最後22分マイキーは登場しないが、そこでは、スーとミックが協力して映画制作会社の不正(映画を製作するためと偽ってベオグラードから名画を密輸入した)を暴くシーンが映画全体の目玉となっている。映画の最後は、不正捜査の中で、改めてスーへの深い愛情を再認識したミックが、オーストラリアの奥地に戻って開いた野外結婚式のシーン(なぜか、スーの父は出席していない)。

サージ・コックバーンは、役柄は9歳だが、出演時は恐らく10歳。ばりばりのオーストラリアっ子で、多少ワイルドな感じがピッタリ。顔の表情が独特で、面白い。


あらすじ

映画の冒頭、ミック・ダンディーがクロコダイルを捕獲しようするが、あまりに巨大だったため失敗する。何食わぬ顔をして、息子のマイキーを学校まで迎えに来たミックだったが、自分の息子を迎えに来たアボリジニの親友のアーサーは、とっくにそれを知っていた。アーサーが前作に現れた時には、アボリジニの伝統的な通信方法しか使わなかったので、今回、「なんで、もう知ってるんだ?」とミックに訊かれ、「俺達は、白人には分からない方法で話すことができるんだ」と返事した時、てっきり伝統的な方法だと思ってしまう。しかし、その時、アーサーに携帯電話が入る。アーサーがミックのことを知ったのは、仲間のアボリジニからの携帯でのやり取りだった。それに対し、ミックは携帯など持っていないし使えない。「俺達のどっちが白人か これではっきりしたな」というミックの言葉には笑ってしまう。おまけに、自分達が観光客の「見物対象」となっていることに対し、「今のご時勢じゃ、あいつらは俺達のパンとバターだ。こんなのが呼び物になるなんて、如何にも20世紀的だな」と言ってしまい、アーサーから「今は21世紀だぞ」〔映画の公開は2001年〕といなされる始末。小学校が終わりマイキーが出てくる(1枚目の写真、右側の裸の男がアボリジニのアーサー。フェイス・ペイントや腰巻姿は観光客用の扮装)。2人きりになって、ミックは マイキーに、「で、今日は何を教わった?」と尋ねる。マイキーは、カリフォルニアで起きた地震のビデオを見せられたので、「あっちにいた時、地震あった?」と訊く。「いいや、ニューヨークにいたからな。あそこは地震がないんだ。『地震? おい、ここはブルックリンだぜ。何を考えてる。忘れちまえ』って言われちまうぞ」(2枚目の写真)。
  
  

帰宅の途中で、ミックは、「さあ、自習の時間だぞ」と言い、「それ何だ?」と地面に落ちている動物の糞を指す(1枚目の写真)。「オオトカゲのフン」。正解を言えて嬉しそうだ(2枚目の写真)。
  
  

「まだ近くにいるぞ。探し出せ」。マイキーは、高い枝の上にいるオオトカゲをすぐに見つける(1枚目の写真)。そして、「あそこだ」と言うと、すぐ石を投げようとする。ミックは、その手をつかんで止め、「腹が空いてるのか? 夕食に食べたいのか?」と訊く(2枚目の写真)。「オエッ。まさか!」。「なら、見逃してやれ」。この会話は、後で、ロスに言ってから効いてくる。
  
  

最後が野豚。マイキーは野豚を見つけ、ミックのところに駈けていくと、「パパ、大きな野ブタがいる。あれ、やれる?」とせがむ。「あれ?」。「ほら、あのスゴ技。やってよ」。「分かった。だが お前が怖がってると効かない。臭いで分かるんだ」。「分かってる。怖がらない。約束する」と言うが、「ナイフを持たせてくれたら、絶対怖がらないよ」とも。ミックは、前作でも見せた「人差し指と小指でかける魔術」で野豚を大人しくさせる(1枚目の写真、ちゃんとお座りしている)。それを見て、「サイコー(Cool)」と喜ぶマイキー(2枚目の写真)。彼は “Cool” を口癖のように使う。
  
  

ミックとスーの住んでいる家。クロコダイル・シリーズ1と2の独身時代と比べると、すごくきれいな家だ。ひとえにスーのお陰だろう。金銭的にも、ワニ・ハンターや観光客相手のショーでは、これだけの生活は維持できない。「妻に養われることへの抵抗」が、ひょっとしたら、入籍しない理由かもしれない。そこに、ニューヨークの父からスーに電話が入る。話をひとくさり聞いたスーは、「いいわ、パパ、ミックに話してみる」「ううん、もし結婚することにしたら、一番に知らせるから」「孫と話ししてみる?」。電話をもらったマイキーは「やあ、おじゃいちゃん。めっちゃ元気だよ」と答えている(1枚目の写真)。父からの電話は、ロス支局長のTom Zetlandが自動車事故で死んだので、ちゃんとした後任を見つけるまで代理を務めて欲しいというものだった。代理の期間は1~2週間。その間どうするかミックに尋ねると、「俺とマイキーも一緒に行く」という返事。「嘘でしょ?」。「いいや、マイキーのためだ。決めるのに役立つ」。「決めるって?」。「君のパパは新聞社を持ってて、跡継ぎは君一人。いつかマイキーも決めないとな。クロコダイルの世話係の助手になるか、大都市の新聞社の社長になるか。難題だ。旅はきっと役に立つ。ニューヨークでの俺、覚えてるだろ。世の中を見て、目からウロコだった。お陰で、俺は、何って言ったっけ…」。「世慣れた?」。「それだ」。スーは、息子にも確認する。「あなたはどうなのマイキー? 意見は? カリフォルニアにしばらく住んでみたい?」。「地震があったんだよね?」(2枚目の写真)。「ええ、あったわよ」。「サイコー」。
  
  

場面は、ロスに飛ぶ。スーが勤めるのはロスの都心のビルだが、ミックとマイキーはビバリーヒルズの大邸宅にいる。学校に行くまで数日あるので、ミックはマイキーを連れ出す。行った先はベニスビーチ。ロス都心の真西にあるサンタモニカのすぐ南に伸びるきれいな砂浜だ。ビーチにいる水着姿の女性を見て、マイキーが「ねえ、パパ、見て。『ベイウォッチ』みたいだ」と話しかける。『ベイウォッチ』は1989~99に放映されたビーチでの海難救助ドラマ(2000からはハワイが舞台)。父が知らなかったので、TVで見た変な走り方を真似し、「パブでドンクたちみんなが、『わ~』だって」と口を滑らす。「お前、パブで何してたんだ?」。とんだ やぶ蛇。その時、海岸沿いの遊歩道をローラースケートで走ってきた女性が、ミックとぶつかりそうになる。謝って時間を尋ねると、ミックは太陽を見て、「12時半か、たぶん35分だな」。「カッコいいわね。でも、時計あるのに」。「時計じゃない、コンパスだ。来たばかりだから、これがないと家が探せないんだ」。「ホント? 家はどこにあるの?」。「北北東2度北、11.5マイル。ビバリーヒルズってトコだ」〔地図で見ると、ヤシ並木で黄色のセンターラインのある道はNorth Canon DriveとNorth Beverly Driveだけで、距離は11.5キロ。マイルとキロの間違いか?〕。「ビバリーヒルズ? じゃあ素敵な家ね?」。ここでマイキーが「うん、ダニーが8つある」〔ダニーはオーストラリアの俗語〕(1枚目の写真)。ミック:「トイレが8つあるんだ」。「素敵ね。この子、息子さん?」。「ああ、マイキーだ」。「じゃあ、結婚してるの?」。マイキーが「ううん、してない」と言ったので、女性は「親権をとったのね?」。「ああ、息子だ」。大邸宅の持ち主が離婚中と勘違いした女性はホクホク。「ブラッド・ピットよりはロバート・レッドフォードに近いけど、ビバリーヒルズに家があって、息子さんもいる。私のシンディーのいいパパになれるってこと」と皮算用〔2000年の時点で、ブラピは37歳、レッドフォードは64歳、ミックは61歳〕。しかし、唯一心配な点に思い当たる。「あなた、付き合えない人? ひょっしてゲイ?」と訊く。「ゲイ」が何か知らないミックは、“gay”の第一義は「快活な」という形容詞なので、「たいてい いつもそうだ」と答え、女性は誤解したまま去って行く。「よくしゃべる人だね」。「そうさ、アメリカの女性だからな」。「いいお尻だ」(2枚目の写真)。この余分な一言で、「パブなんかで うろついてるんじゃないぞ」と叱られる。
  
  
  

家に帰る途中の車の中で、急にマイキーが叫ぶ。「パパ、すぐ止めて。道路に犬がいる!」(1枚目の写真)。しかし、そこは一般道ではなく片側3車線の高速道路101号線。急ブレーキをかけて停止したため車体が車線を塞ぐ形となる。後続車も慌てて急ブレーキをかける。事故こそ起きなかったものの道路は封鎖状態に(2枚目の写真、マイキーの車は手前右端)。「犬」は、前方の中央分離帯の中に隠れたので、マイキーが見に行く。ミックは、後続車の男性に向かって、「いいか、みんな、そのまま下がってろ。心配するな、すぐに捕まえる」と言うが、「道路に、何かがあるそうだ」→「あいつ気が変じゃないのか。爆弾かもしれん」→「爆弾だ! 爆発するぞ!」に変わってしまい、慌てて逃げ出す。マイキーは、ガードレールに近付くと、「さあ、出ておいで」と声をかけるが出て来ない。「出て来ないよ。怖がってる」(3枚目の写真)。「犬じゃないな。あれは、いったい何だ。ポッサムの一種かな」。「黒と白のポッサムなんていないよ。スカンクじゃないかな」。「なんでスカンクだと分かる。国にはいないぞ」。「TVでやってるアニメの『ペペ・ル・ピュー』に似てるから」。「スカンクなら臭いんじゃないか?」。大渋滞を尻目に気楽な会話だ
  
  
  

警察に「爆弾」との通報が届き、反対車線からパトカーが現場に駈け付け、危険なので道路を封鎖する(1枚目の写真)。ヘリコプターも2機やってくる。スカンクを抱き上げたミックが、「怖がって当然だな。アホなヘリどもがいる」と、まるでひとごと。マイキーは、ヘリに向かって手を振る(2枚目の写真)。後から、このせいで50キロの大渋滞が起きたとTVで報道されるが、オーストラリアの奥地から出て来た2人にはそうした認識はない。警官隊はミックに向かって、ハンドマイクで「そこを動くな! 爆弾を置け!」と命じる。そのうち、警官の1人が「爆弾じゃない、猫だ」と言い、緊張が一気に解ける。ミックは息子に「ほらな、国と同じだ。警官は友達さ。助けに来たんだ」(3枚目の写真)。その時、さっき「猫」だと言った警官が、スカンクだと気付く。再び緊張する警官隊。しかし、いつまでも交通をストップさせてはおけないので、ミックから渋々スカンクを受け取る。ミックは、「マイキー、このことはママには言うなよ。きっと理解しないだろう。男の領域だからな」と、口封じに大わらわ。
  
  
  

最後の休日でマイキーが父に連れて行ってもらったのは、パラマウント・ピクチャーズのスタジオ・ツアー。いろいろ見た後で、ガイドが、「さて、次の門をくぐる前に警告しておきます。様々なジャングルの危険な動物達が逃走中です。車両から絶対に出ないで下さい。生命の保証はありません」と如何にも怖そうに告げる。その話を聞いて怖くなったマイキー(1枚目の写真)は、父に「大きなナイフ持ってる?」と訊く。クロコダイル・ダンディーの象徴の巨大ナイフのことだ。「要らないと思ったから、ポケットナイフしかないぞ。欲しいのか?」。「動物に襲われた時用だよ」。「要らないさ」。マイキーは、まだオーストラリアの癖が抜けていない。ゲートの中に車両が入り、ガイドが「用心して、巨大な命取りのアナコンダです!」と言うと、横からオモチャのアナコンダの首が飛び出してくる。ショーだと知っていても、ミックは反射的にナイフで首を刺してしまう(2枚目の写真)。ポケットナイフにしては巨大だ。自分のしたことに恥ずかしくなり、「悪い、無条件反射で」とてれ笑いする(3枚目の写真)。いたたまれなくなって、ジャングルの中でも車両を降りる。乗客の1人が、「これもショーの一部かな」と言っているのが面白い。マイキーは、「これも『男の領域』なの?」と訊く。「その通り」。
  
  
  

スーは、前任者が死の直前まで係わっていた映画製作会社の「疑惑」について 最初の取材を終え、外で待っていた夫と息子と会う。2人は、途中でスタジオ・ツアーから脱退したので、暇を持てあまして歩道に座って待っていたのだ。スー:「2人とも、楽しかった?」。「うん、サイコーだった」。ミック:「で、取材はどうだった?」。「ムズムズしたわ。嘘ついてる人と話したことある?」。ミックは、新聞社なんだから、取材した会社の社長を『NYPDブルー』みたいに警察に調べてもらえと言う〔『NYPDブルー』は、1993-2005放映の刑事ドラマ〕。「一日中TVにかじりついてるのは、マイキーだけじゃないようね」。「俺達が見てるのは教育番組だけだよな」。しかし、マイキーは、「うん、レスリングみたいにね」と言って(1枚目の写真)、「ザ・ロック様の妙技を味わうがいい」とドウェイン・ジョンソンの真似をする(2枚目の写真)。妻のあきれたような顔を見たミックは、これ以上マイキーが変なことをバラさないよう口を押さえる(3枚目の写真)。
  
  
  

そして、翌日マイキーは小学校へ。授業時間が終わる頃、出迎えのナニーが集まる中、ミック以外に父親が2人いる。サバイバル・キャンプの話になった時、ミックはつい、「ちょうど先月、息子を茂みに連れて行って、こん棒でどうやって野豚を殺すか教えてやった」と誇張して自慢する。相手は、「野豚を殺す? だって9歳なんだろ?」。「ああ、だけど言うじゃないか、遅れてもやらないよりはましって」。完全に誤解しているところが面白い。この後、子供たちが一斉に出てくる。マイキーは、「やあ、パパ。マシス先生が話したいって。あっちで待ってるから」と言い(1枚目の写真)、離れていく。先生は、「ドロシー・マシスです、チャールトンさん」とマイキーの姓を使う。「はじめまして、ミック・ダンディーです、マイキーのパパの」と訂正。先生の話の要点は、転入生として自己紹介した時、父親の仕事を、「コロコダイルを狩って殺してる」と話したこと。色づけして誇大に話すことは嘘の始まりという訳だ。ミックは、「クロコダイルは保護されてます。殺しません、生け捕るだけです」と「嘘」を否定する。これには先生もびっくり。急に「男」として関心を抱く。この先生、未婚なのだ。ミックは、待っていたマイキーと合流する(2枚目の写真)。ビバリーヒルズのきれいな並木道を2人で歩きながら、マイキーは父に頼む。「パパ、先生に言ってよ。チャールトンじゃなくてダンディーと呼ぶように」。「学校に入学させる時、ママの名前を使ったからな。それがお前の正式な名前だろ」。「それって、ママと結婚したくないから?」。「いやいや、結婚はしてる。一応な。ただ、正式じゃないだけだ」(3枚目の写真)。「みんなに、パパがクロコダイルのハンターだと話した時の反応は?」。「みんな言ってたよ、『ビバリーヒルズで何してるの?』って」。
  
  
  

その後で、2人が近くのウィル・ロジャース記念公園へ行くと、1人の黒人のアスリートが芝に座って脚を組んでいる。「ねえ、パパ、あの人 何してるのかな?」。「さあな。行って訊いてみよう」。そして、マイキーは「何してるんですか?」と直接質問する。「瞑想(meditate)してるんだよ」。「めいそう、って?」。「心の中の、雑念のない特別な場所で、大きな力を得ることだよ」。「サイコー。僕たちに教えてもらえます?」。「いいとも、こっちに来て、座ってごらん」。お互いに自己紹介する。男性の名前はマイク(Mike)。「マイキー、ミック、マイク。冗談みたいだな」〔すべて、マイケルの短縮形〕と言って笑う(1枚目の写真)。男性は、2人に脚を組ませ、目を閉じて体の力を抜き、何度も深呼吸させる。「目を開けて。気分はどうだい?」。「すごくパワフル」(2枚目の写真)。面白いのは、正座していたわけでもないのに、ミックの脚が痺れて立てなくなってしまったこと。
  
  

2度目の学校のシーン。今度は、クラスの中だ。授業中、マイキーは壁際の本棚の中に動くものを見つける。さっそく手を挙げるが、先生は教壇で「クロコダイルズ」という本に夢中でなかなか気付かない。ようやく気付いて、「どうかしたの、マイケル?」と訊く〔ここで「マイケル」と呼びかけるのは驚きだ。もし、それが本名なら、父のミックの本名もマイケルなので、親子とも同じ名前ということになる〕。マイキーは、「先生、アメリカの人ってネズミが好きですか、それとも害獣ですか?」と尋ねる。「なぜ 訊くの?」。「本棚に 大きなのがいますけど」(1枚目の写真)。それを聞いた生徒たちは、一斉に教壇目がけて逃げる。マイキーは黒板消しを取ると、走って逃げるネズミ目がけて投げつける(2枚目の写真)。見事命中。マイキーはしっぽをつかんで生徒たちの前に持って来る。先生は、「それ、死んでるの?」と尋ねる。「いいえ、先生。気絶させただけです。食べるんじゃなかったら殺すなって、パパに言われたから」(3枚目の写真)。この辺りのマイキーの顔が、とても面白い。いつ動き出すかわからないので、先生は、「外へ出してきて、お願い」と必死だ。これで、生徒たちの中で、マイキーの株が跳ね上がったのは言うまでもない。全編でマイキーが最も光っているシーンだ。
  
  
  

ミックが、スーの取材に協力して、映画製作会社にスパイとして潜入することにしたため、マイキーを迎えに行けなくなった。次の日、授業が終わると、先生は、またミックに会えるかと期待して、マイキーを呼び止める。しかし、マイキーの返事は、「パパは 今週仕事なんです」。がっかりした先生だったが、代わりに迎えにきた人物を見てにんまり。それは、ミックがオーストラリアから呼び寄せたジャッコだった。先生はジャッコが結婚してるかとマイキーに訊き、「ううん、相手を捜してます」との答えに大満足。最高の笑顔で、「ドロシー・マシスよ。マイキーの先生」と話しかける(1枚目の写真)。「よろしく、ドロシー。ジャッコと呼んで」。これに続くのが、「発表会(SHOW AND TELL)」の場面。ジャッコのまくり上げた左膝をレーザーポインターで指しながら、マイキーが「でっかいクロコダイルに食いちぎられるトコでした」と説明する(2枚目の写真)。生徒たちが一斉に「わ~」と驚く。ジャッコは、「ホントのこと言うと、そんなに大きくなかった。20フィート(6m)くらいさ」。6メートルといえば、最大級。それを聞いて、先生の心は決まったようだ〔お婿さんにすると〕。
  
  
  

この先の大活劇はミックの活躍で大団円。最後に、ミックは、スーに「結婚してくれる?」と頼む。そして、場面は再びオーストラリアの奥地に戻る。池のそばの野外で、人口20名の村人全員が集まってミックとスーの結婚式が行われている。「スー、あなたは、この荒くれ者(larrikin)を夫として受け入れますか?」。「はい」(1枚目の写真)。「ミック、あんたは、この美しい女性を妻として受け入れるかね?」。「心配するな(No worries)」〔オーストラリアでよく使う表現〕(2枚目の写真)。「文句なし。あんたがたを夫婦と宣言します」。2人はキスし、暖かい拍手が贈られる(3枚目の写真)。その中には、何とマシス先生もいる〔もちろん、ジャッコと一緒に〕。
  
  
  

ミックは、さっそくマイキーに、「これで、正式にミック・ダンディー二世だな」と話しかける。マイキーこと、新ミックの返事は当然、「サイコー」(1枚目の写真)。「さて、いったいどうなるかな… 結局、もう1人のクロコダイル・ダンディーになるか、それとも新聞王マイケル・ダンディーになるか」。「そんなの簡単だよ(no-brainer)、パパ。クロコダイル・ダンディーと 金持ちの大新聞の社長の両方さ」(2枚目の写真)。「バカじゃなかったな(I didn't raise a dumbbell.)」。
  
  

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